「高配当なのに株価が下がるのはなぜ?」その答えはROE(自己資本利益率)にある。見せかけの”優良企業”に騙されないための「稼ぐ力」の見抜き方。

株価指標

「高配当株を買ったのに、株価がズルズル下がって含み損になってしまった…」

「利回り5%という数字に惹かれて買ったら、決算でいきなり減配された…」

そんな経験はありませんか?

正直に白状します。これは、投資を始めたばかりの頃の私が何度も繰り返した失敗です。

当時の私は、「配当利回りランキング」の上位にある銘柄を、何も考えずに買っていました。しかし、その結果待っていたのは、資産が増えるどころか減っていくという辛い現実でした。

なぜ、高配当なのに株価が下がるのか?

なぜ、優良そうに見えた企業が減配するのか?

その答えの多くは、企業の「稼ぐ力」を示す指標、ROE(自己資本利益率)ROA(総資産利益率) に隠されています。

PER、PBRに続く指標シリーズ第3弾。

今回は、教科書的な数式は一切使いません。代わりに、直感的なイメージで「本当に稼げる企業」と「張りぼての企業」を見分ける方法をお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたの銘柄選びの眼力は、間違いなくレベルアップしているはずです。

そもそもROE・ROAとは? 数式は忘れて「利回り」で考えよう

アルファベット3文字の指標が出てくると、「うっ、難しそう…」と身構えてしまいますよね。でも、大丈夫です。

投資家にとって必要なのは、複雑な計算式ではなく「その数字が何を意味しているか」というイメージです。

ROE(自己資本利益率)は「株主にとっての利回り」

まずはROEです。これは、株主が出したお金(自己資本)を使って、企業がどれだけ効率よく利益を上げたかを示します。

もっと簡単に、「あなたが友人にビジネス資金を預けた場合」で想像してみましょう。

  • あなたは友人に 100万円 を預けました。
  • 友人はそのお金を使って商売をし、1年間で 10万円 の利益を出しました。

この時、利回りは10%ですよね。これが ROE 10% です。

もし利益が5万円ならROE 5%。

当然、私たち投資家(出資者)からすれば、同じ100万円を預けるなら、より多くの利益を生み出してくれる「優秀な友人(経営者)」にお金を託したいですよね。だから、一般的に「ROEは高いほうが良い」と言われるのです。

ROA(総資産利益率)は「ビジネスそのものの利回り」

次にROAです。こちらは、株主のお金だけでなく、銀行から借りたお金(負債)も含めた「会社全体の資産」を使って、どれだけ稼いだかを示します。

先ほどの友人の例で考えてみましょう。

  • 友人はあなたから預かった100万円に加えて、銀行から 900万円 を借りてきました。
  • 手元の資金は合計 1,000万円 です。
  • この1,000万円を使って巨大な工場を建て、年間 20万円 の利益を出しました。

この場合、1,000万円の資産を使って20万円の利益なので、ROAは 2% になります。

ROEとROA、似ているようで視点が全く違うことがわかりますか?

  • ROE:株主のお金を増やすのが上手か?(経営者の通信簿)
  • ROA:ビジネスそのものが儲かっているか?(現場の底力)

「ROEが高い=買い」の落とし穴。数字のマジックに騙されるな

「なるほど、じゃあROEが高い銘柄を選べばいいんだね!」

……ちょっと待ってください。そこで思考停止すると、過去の私と同じように痛い目を見ます。

実は、ROEには 「借金をすればするほど高くなる」 という危険な性質があるのです。これを「財務レバレッジ」と呼びます。

先ほどの友人の例を思い出してください。

銀行から大量に借金をしてビジネスを拡大した結果、利益が少し増えれば、分母(あなたが出した100万円)に対する比率であるROEは跳ね上がります。

しかし、会社の家計簿を見てみるとどうでしょう? 借金まみれ ですよね。

これが 「ROEの罠」 です。

一見、ROE 20%超えの超優良企業に見えても、実は「自己資本が極端に少なく、借金で無理やり利益を嵩上げしているだけ」というケースが多々あります。

これを私は 「借金ドーピング」 と呼んでいます。

景気が良いときはいいですが、金利が上がったり不況になったりすると、この手の企業は真っ先に経営危機に陥ります。配当どころではありません。

そこで役立つのが、ROAという「嘘発見器」 です。

もし、「ROEは20%とすごく高いのに、ROAは2%しかない」という企業があったら、警戒レベルMAXです。「借金でレバレッジを効かせすぎているのではないか?」と疑ってください。

失敗しないための「黄金のチェックリスト」

では、私たちはどんな基準で銘柄を選べばいいのでしょうか?

私が実際に銘柄分析をする際、必ずチェックしている「3つの基準」をご紹介します。

1. ROEは「8%」以上が合格ライン

これは「伊藤レポート」という経済産業省の報告書でも示された基準で、投資家が最低限求めるリターン(資本コスト)の目安とされています。

8%を超えていない企業は、「株主のお金を銀行に預けているのと変わらないレベルでしか運用できていない」と判断されかねません。

2. ROAは「5%」以上を目安に

日本企業の場合、ROAが5%を超えていれば優秀な部類に入ります。

ここが高い企業は、借金に頼らずとも、ビジネスモデルそのものに強み(ブランド力や技術力など)がある証拠です。

3. 【最重要】ROEとROAの「ギャップ」を見る

私が一番重視しているのがこれです。

理想は、「ROEとROAがバランスよく高い」 状態です。

例えば、ROE 10% / ROA 7% のような企業は、適度な借金で効率よく経営しており、非常に健全です。

逆に、この2つの数字が大きく乖離している場合は、必ず 自己資本比率 をセットで確認してください。

高配当株投資における「ROE・ROA」の実戦的な使い方

最後に、私たちが目指す「高配当株投資」において、これらの指標をどう活かすかをお話しします。

「連続増配株」とROEの関係

私たちは、今の利回りだけでなく、将来にわたって配当が増える「増配」を期待しています。

配当の原資は「利益」です。つまり、ROEが高く、効率よく利益を生み出し続けている企業こそが、持続的な増配を可能にするのです。

「高配当」かつ「高ROE」の銘柄は、受け取った利益を再投資してさらに大きく稼ぐ、「複利のエンジン」 を持っていると言えます。

PBRとの合わせ技

前回の記事で「PBR1倍割れ」の話をしました。

実は、PBR = PER × ROE という関係式が成り立ちます。

もし、「ROEが高い(稼ぐ力がある)のに、PBRが低い(株価が安い)」 という銘柄を見つけたら、それは市場が見逃している「お宝株」の可能性があります。

ただし、飛びつく前に必ず「なぜ安いのか?」を疑い、ROAや財務状況をチェックすることを忘れないでくださいね。

まとめ:ROEとROAは「車の両輪」

  • ROE:株主のお金の増やし方(経営者の腕)
  • ROA:会社全体の稼ぐ力(ビジネスの強さ)

この2つは、どちらか片方だけを見るのではなく、車の両輪のようにセットで見ることが大切です。

片方だけ見ていると、借金ドーピングによる見せかけの数字に騙されてしまいます。

【次の一歩】

今すぐ、あなたのポートフォリオにある銘柄、あるいは気になっている銘柄の「ROE」と「ROA」をチェックしてみてください。証券会社のアプリの「指標」や「四季報」欄で簡単に見られます。

もし「ROEは高いけどROAが極端に低い」銘柄があったら、一度立ち止まって財務状況を確認してみましょう。

その一手間が、大切なお金を守り、着実に資産を積み上げることに繋がります。

一緒に、堅実な資産形成の道を歩んでいきましょう。


免責事項

※本記事は、筆者個人の経験と見解に基づく情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。投資の最終判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

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