「この株、PER(収益性)は割安だけど、PBR(資産性)はちょっと割高なんだよな……」
「逆にこっちは、PBRは激安だけど、PERが高すぎて元が取れなそう……」
銘柄分析をしていると、こんな風に板挟みになって悩むことはありませんか?
あちらを立てればこちらが立たず。結局、どちらを信じればいいのか分からず、えいや!で買って失敗する。
正直に白状します。これは、かつての私が何度も陥った「指標の迷子」状態です。
「PERが低いから買いだ!」と飛びついたら、実は資産価値(PBR)がスカスカで、暴落時に株価が戻ってこなかったり。
逆に「PBR1倍割れだ!」と買ったら、利益が全然出ていない(PERが高い)ダメ企業で、万年株価が上がらない「塩漬け株」を作ってしまったり……。
そんな失敗を重ねた私が、今、銘柄選びの「最終試験」として使っている最強の物差しがあります。
それが、「ミックス係数」です。
これは、投資の神様ウォーレン・バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムが愛用した指標で、PERとPBRを「掛け算」するだけの非常にシンプルなものです。
今日は、電卓一つ(スマホ)で計算できるこの魔法の数字を使って、「偽物の割安株」を排除し、「本当のお宝株」を見抜く方法を解説します。さらに、この指標を使う上で絶対に知っておくべき「落とし穴」についても補足します。
そもそも「ミックス係数」とは? 数式は「掛け算」するだけ

まず、結論から言います。ミックス係数の計算式はこれだけです。
ミックス係数 = PER × PBR
たったこれだけです。 以前の記事で、PERは「稼ぐ力(何年で元が取れるか)」、PBRは「資産の厚み(解散価値)」だとお話ししました。 ミックス係数は、この2つを掛け合わせることで、「収益面」と「資産面」の両方から見た「総合的な割安度」を一発で判定する指標なのです。
イメージとしては、
「お買い得度(PER)」×「お買い得度(PBR)」=「超お買い得度(ミックス係数)」
と考えてください。
片方の数字だけが良くても、もう片方が悪ければ、掛け算の結果(ミックス係数)は大きくなってしまいます。
つまり、この数字が小さければ小さいほど、「稼ぐ力もあり、かつ資産も持っているのに、なぜか安く放置されている優等生」である可能性が高いのです。
基準は「22.5」。投資の神様が定めたボーダーライン
では、具体的に「いくつ以下」なら買いなのでしょうか?
ベンジャミン・グレアムが提唱した基準は、ズバリ 「22.5」 です。
なぜ「22.5」なのか?
一般的に、株式投資の世界では以下の数字が「標準(適正)」とされています。
- PER(株価収益率): 15倍
- PBR(株価純資産倍率): 1.5倍
これを掛け合わせると……
15 × 1.5 = 22.5
つまり、「22.5」を超えている株は「ちょっと割高(期待先行)」であり、「22.5」を下回っている株は「割安圏内」と判断できるのです。
日本株なら「11.25」以下が激熱ゾーン?
ただし、今の日本株市場には、海外に比べて割安な銘柄がゴロゴロ転がっています。
そのため、私を含めた慎重な投資家の間では、グレアムの基準をさらに厳しくした「11.25(22.5の半分)」を目安にすることがあります。
もし、PERとPBRを掛けて 「11.25」以下 の銘柄が見つかったら……それは市場から見放された「スーパーバーゲンセール」の可能性があります。一度詳しく調べる価値は大いにあります。
【注意点:業種による「クセ」を知ろう】
ここで一つだけ注意です。「22.5」や「11.25」はあくまで全業種の平均的な目安です。
- 銀行・商社・不動産:これらは構造的にPERやPBRが低くなりがちです。「11.25以下だから即買い!」ではなく、「同業他社と比べて低いか?」も併せて見てください。
- IT・サービス:資産(工場など)を持たないためPBRが高くなりやすく、ミックス係数が高めに出ます。これらは「成長性」で評価されるため、この係数だけで「割高」と切り捨てる必要はありません。
なぜミックス係数が必要なのか? 「片手落ち」の罠を防ぐ

「PERとPBR、それぞれ別に見ればいいんじゃない?」と思うかもしれません。
しかし、ミックス係数を使う最大のメリットは、「片方の指標に騙されるリスク」を排除できることにあります。
ケースA:PERだけ低い(PBRが高い)罠
「PER 8倍!割安だ!」
しかし、PBRを見ると 5倍 だったとします。
ミックス係数は 8 × 5 = 40 。基準の22.5を大きく超えて「割高」判定が出ます。
これは、「今は利益が出ているけれど、資産の裏付けが薄く、人気だけで株価が吊り上がっている」状態かもしれません。成長が止まった瞬間、株価は急落するリスクがあります。
ケースB:PBRだけ低い(PERが高い)罠
「PBR 0.5倍!解散価値の半分だ!」
しかし、PERを見ると 60倍 だったとします。
ミックス係数は 60 × 0.5 = 30 。これも「割高」判定です。
これは、「資産は持っているけれど、本業で全く利益を出せていない(稼ぐ力がない)」状態です。いわゆる「ボロ株」や「万年割安株」を掴むリスクがあります。
ミックス係数は、このように「どちらか片方だけ見ていると気づかない落とし穴」を、掛け算によってあぶり出してくれるのです。
失敗しないための「ミックス係数」活用チェックリスト

最後に、私が銘柄選びで実践している「ミックス係数の使い方」の手順をご紹介します。
1. スクリーニング(検索)の第一歩として使う
証券会社のアプリで銘柄を探すとき、最初から細かい財務諸表を見るのは大変ですよね。
まずはざっくりと、「PER × PBR < 15」 くらいの条件でフィルターをかけます。
これで、明らかに割高な銘柄を機械的に除外できます。
2. 「安かろう悪かろう」を見抜く(財務健全性+現金)
ミックス係数が激安の銘柄を見つけても、喜んで飛びついてはいけません。 倒産リスクや減配リスクを避けるために、以下の2点を確認します。
- 自己資本比率:「50%以上」が理想(借金が少ないか)。
- ネットキャッシュ:手元に「現金」は十分にあるか? 利益(PER)が出ていても、手元にお金がないと配当は出せません。「有利子負債」よりも「現金・預金」の方が多い企業(実質無借金)なら最高です。
3. 「将来の利益」が減らないか確認する
ここが一番の盲点です。ミックス係数はあくまで「過去~現在」の数字です。
「来年は大赤字になる予定」だから、今の株価が暴落して割安に見えているだけかもしれません。
会社四季報や決算資料の「業績予想」を見て、「来期の利益がガクンと減る予定ではないか?」を必ずチェックしてください。
4. 「配当」が出るか確認する
私たちとうしらぼの目的は、あくまで「高配当株投資」による自分年金づくりです。
いくら割安でも、配当が出ない(無配)のでは、長期保有のモチベーションが保てません。
「配当利回り3.0%以上」 などの条件も忘れずに加えましょう。
まとめ:ミックス係数は「心の安定剤」
【本日のまとめ】
- ミックス係数 = PER × PBR
- 基準は 「22.5」以下 が割安。日本株なら 「11.25」以下 が激熱。
- ただし、業種による違いや「将来の業績悪化」には注意が必要。
- 片方の指標だけに騙される「罠」を防ぐための最強フィルター。
ミックス係数は、PER(攻め)とPBR(守り)を同時に評価できる、非常にバランスの良い指標です。
これを意識するようになってから、私は「雰囲気で割安株を買う」ことがなくなり、暴落時でも「数値的に割安なのだから大丈夫」と、どっしり構えられるようになりました。
【今日からのネクストアクション】
今週末、あなたの保有銘柄や、気になっている銘柄のPERとPBRを掛け算してみてください。
もし 「22.5」 を大きく超えている銘柄があれば、それは期待が先行しすぎているかもしれません。
逆に、 「11.25」 を割るような地味な銘柄が、実はポートフォリオを支える「未来の柱」になるかもしれません。
一緒に、堅実な資産形成の道を歩んでいきましょう。
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